舞台「暁のヨナ〜緋色の宿命編〜」
脚本を担当した舞台「暁のヨナ〜緋色の宿命編〜」が無事全日程を終えた。
千秋楽のステージは、主演の生駒里奈さん、矢部昌暉さんをはじめ全てのキャストの皆さんが
初日とは見違えるようだった。台詞を言葉にしていく過程を見ることができた。
そして、何よりアンサンブルの皆さんには頭が下がる。
彼らのために何か台詞を書きたい、そう思わせる存在だった。
コメディ畑を歩んできた僕としては、初めての2.5次元作品。
そして、原作は680万部を売り上げ、今も連載が続く大人気少女漫画。
暁幼稚園、暁小学校、暁中学高等学校を卒業した僕にとって、
「暁」の宿命だと思い、取り掛かった仕事だ。
初めは僕に務まるだろうかと少しの不安もあったが、
プロット、脚本と作業を進めるにつれて今まで培ってきた技術、経験は
無駄ではなかったことに気付いた。
出来上がった脚本に僕らしさは正直なかったかもしれない。
でも、それでいいのだとも思う。
僕らしさより、原作らしさがあれば良いのだ。
それが僕のこだわりだ。
そう言う意味ではやはり僕らしい作品なのかもしれない。
全ては原作と原作ファン、そして初見のお客様の為に。
とは言うものの1巻〜7巻を2時間半にまとめるというのは難しい。
原作ファンにとっては、どのシーンだって大切だろうし、
初見の方にもわかるように、独立した作品としても成立しなくてはならない。
そこで、「ヨナの成長」という大きな軸を大切に構成し、書き上げた。
仲間になる過程よりも、ヨナにとって仲間とは、仲間にとってヨナとは、
を描くためにそれぞれの「名前」にまつわるやりとりは大切にした。
1幕から休憩へ、休憩から2幕へのシーンもお気に入りだ。
概ね、皆さん喜んでくださったようだが、やっぱり「あのシーンがなかった」
「端折られた」「忙しい人のためのヨナ」という意見も目にした。
99人が喜んでくれても、1人の不満が気になる。
もし次回があるのならば、その1人の為に、そして100人に喜んでもらえるような、
そんな作品にしたいと思う。