第19期生 卒業公演「HIRES Hi」
ヒューマンアカデミー大阪校 パフォーミングアーツカレッジ 声優・俳優・タレント専攻
第19期生 卒業公演「HIRES Hi」の幕が下りた。
この学校で講師を始めて、7年。
来春の上京に伴い、僕も最後の卒業公演になった。
演目はガバメンツの「HIRES Hi」
学校でも夏季特別公演、進級公演で上演しこれで3度目。
僕にとっても大切な作品なので、これを一緒にやりたいと思わない限り
上演はしていない。
そして、19期生と卒業公演をすることになった。
学校で上演した過去2度から大幅リライトし、彼らが演じるにはハードルは最も高くなった。
モチベーションも、才能も大きな開きがある41名の学生たち。
決起集会ではほとんどが「楽しくやりたい」と宣言していたが、
彼らの「楽しい」は「楽する」ことから得る楽しさだったのだろう。
楽しむために苦しみは必要だと、僕は思っている。3ヶ月の稽古はきっと苦しいものだっただろう。
僕も厳しく接したし、遅刻した学生を稽古場に入れなかったり、場当たりに参加させなかったのも
初めてのことだった。
苦しんで得たものは忘れない。
彼らはほんの少し変わった。
それはセンチメンタルな想いからくるものではなく、現実として技術、知識、そして考え方が。
全てが少しだけ、前に進んだはずだ。
ただ全員ではない。
やはり彼らを見ていると、才能のある人間ほど努力する、稽古する。
終演後、お世話になった人にきちんと感謝の言葉が言える。
ない人間ほど楽をしようとする。立ち止まったままにする。
誰にも何も言えず、人の話を耳だけで聞いた気になっている。
その全てが見られていることに気がついていないのだ。
その差は永遠に縮まらない。
それが現実だ。
才能のある人たちですら、これから現実と向き合い苦しんでいくはずだ。
その時、手を差し伸べられるよう僕もこの世界でもがいていきたい。
そして、いつかどこかの現場で一緒に仕事ができればこんなに嬉しいことはない。
そう思える学生たちが1人ではなかったことが、僕のこれからの楽しみだ。
19期生のみんな、ありがとう。