グリーンミュージカル「LADYBIRD,LADYBIRD 2018」
グリーンミュージカル「LADYBIRD,LADYBIRD」2018年の公演が終わった。
今年は葛岡 有(劇団ハーベスト)が3代目のアンとしてお披露目になった。
アン、ひいてはレディバそのものと言っても過言ではない初代アンの加藤梨里香。
それを受け継ぎ、得難い仔犬感をプラスしてまた違う魅力を魅せてくれた2代目アンの田中凜音。
初代、2代目が太陽タイプの俳優だったが、今年の有は月タイプ。
芝居のスタイルも「光を受けて、さらに輝く」という印象だった。
しかし、アンという役自体が太陽のように光源となって輝く役なので、
どのようにアプローチしていくか正直迷った。
当初は、アンのともだち、アゲハチョウのエリー役の吉田天音が今までにないエリー像を作ってくれたので、天音という小さな太陽の光を浴びて、有という大きな月が輝くのが今年のカタチだと思っていた。
しかし、幕が上がると月は太陽になった。
彼女のひたむきな努力、楽屋での振る舞い、台本と向き合う姿勢に加え、
本番で得たものが大きかったようだ。 レディバではダンサー、エリー、アンとステップアップしているが成長スピードには目を見張る。 このままいくと来年は作演出をしているのではないかと思うくらいだ。
今年のレディバはそんな2つの太陽と、過去にない存在感のハナ役の玉井萌黄が金星のような独特な光を放ち、新たな3人の関係性を作ってくれた。
「今年が1番おもしろい」をテーマに再演を重ねているが、その目標は達成できたと思う。 台本としても深められたし、センスあるキャストの皆さんのおかげで笑いの量も過去最多だった。
(何故か全てが静まり返っていたあの1ステージをのぞいて)
一方で10代の少女たちへの憂いは年々増している。
「はい」と返事はしてくれるが、そこに実行が伴わない。 話を耳でしか聞こうとしない。楽しいことしか楽しめない。
踏み込んで言うと、彼女たちは悪くない。それを教えていない大人や環境に憤りを覚える。
レディバでは、芝居やパフォーマンスの技術だけではない、
それ以外に大切なことも身につけて欲しい。
彼女たちには色々なことを話したが、今、全て分からなくて良い。いつかふと思い出してくれたらいい。
僕もそうだったし、僕だって偉そうなことが言えるような大人じゃないのだから。
でも、これからも厳しく、楽しく、面白く、接していきたい。
最後に今年嬉しかったことをひとつ。 ハチ役の子役キャストの1人が僕のことをとても気に入ってくれたらしく、手紙をくれた。
そこには僕の顔が好きだと書いてあった。メガネを外すと女の子のようでたまらない、とも書いてあった。 内面で勝負するしかないと思っていたが、外見を気に入ってくれる人が現れるなんて感動的だった。
そのままの気持ちでずっといて欲しいと、切に願う。
ご来場いただいた全てのお客様と、キャスト、スタッフに感謝を。 2019年、さらに進化したレディバでお会いできますよう。