グリーンミュージカル「LADYBIRD,LADYBIRD 2017」
グリーンミュージカル「LADYBIRD,LADYBIRD」2017年の公演が終わった。
毎年教えるよりも教わることが多い、得難い現場だ。
昨年は主演のアンが交代、新曲が増えたりと大きな変化があったが、
今年は昨年から続投のキャストも多く、変化をより深化させることができた。
再演作品の強みが色濃く出たのが2017年のレデイバだったのではないだろうか。
アンを演じた田中凜音は座長として確かに成長した。昨年と今年の写真を見比べてもよくわかる。
稀勢の里関が横綱になってから急に顔つきが変わったかのように、地位は人をつくるのだ。
(ちなみにほとんど気づかれないが、僕も少し痩せている)
昨年から得難い仔犬感があったが、今年の稽古場、劇場での居ずまいは座長として、
一人の俳優として責任感を持ち、ビーグルのような中型犬に成長していた。
アクシデントもあったが「辛い時こそ、大きく笑う」そんなアンの生き方を体現してくれた。
来年、もし彼女が続投するとすれば土佐犬感が漂うのではないかと期待している。
そんな彼女の成長を見ていて、やはり俳優として稽古場、劇場でどう存在するのか、
がいかに大事かを考える公演になった。
スマホに支配された10代中盤になかなかそれが伝わらないもどかしさも感じたが、
凜音をはじめとしたメインキャストの居ずまいを見ていると、やはりセンスのある人間は努力もしている。努力している人間にはさらなるセンスが与えられる。アゲハチョウのエリーを演じた葛岡 有も女王蜂のハナを演じた久保田真琴もその姿勢は清しかった。
ハチを演じた俳優たちも、稽古場では自分のアイデアを臆することなく提案し、本番では日替わりで
ネタを替え客席を笑いに包むなど、とにかく攻め続けた。
だから彼女たちはそこにいるのだ。
どこの現場でもひたむきに演劇に向かえる俳優をレディバからは輩出していきたいと思っている。
だからと言って息苦しい現場にもしたくない。「楽しく、厳しく、面白く」だ。
今年は5周年ということで初代アン役の加藤梨里香さんをはじめとした歴代キャストをゲストにアフタートークイベントがあった。僕は、小学校のお楽しみ会以来の司会を務めたのだが緊張のあまり中盤以降の記憶がない。「まわす」「まとめる」という司会の難しさを痛感した。10周年に向けて、トークスキルの向上に務めたい。
2013年から始まったレディバ。初演は脚本だけだったので、演出家として携わりはじめて4年。
当時はレディバといえばポケモンの一種だったのだが、ミュージカルとしてだいぶ認知されてきていることを感じる。作り手として、こうして続いていく演目があるということは幸せだ。
キッズがたくさん出ているので、キッズミュージカルというくくりになってしまうのだが、(どんなくくりでも、よいのだが)ただ出演者に若い俳優が多いだけだ。ミュージカルとして子供だけでなく大人も楽しめるものを作っている自負はあるので、「キッズミュージカルだから」という理由で未見の方がもしいるならば、一度ご覧いただきたい。
5年続いてきたことの喜びもたくさんあるが、続いたことで生まれた甘えもあった。
2018年は大きな改革をしながら、座組としての毎年のテーマ「今年が一番面白い」を掲げ、
さらにたくさんのお客様、そして魅力的な俳優たちと出会いたいと思っている。
2017年のレディバに御来場頂いたすべてのお客様、そしてキャスト、スタッフに感謝を込めて。
ありがとうございました。